- 所属球団
- 元読売ジャイアンツ
元近鉄バファローズ
元阪神タイガース
- 氏 名
- 石毛 博史(いしげ ひろし)
- ポジション
生年月日
出身地 - 投手
1970年7月13日
千葉県
【球歴】
- 出身中学(出身チーム)
- 銚子市立第五中学校
- 出身高校
- 銚子高等学校
- 出身大学
- -
- その他出身チーム
- -
【プロ野球歴】
- プロ野球入団
- 1988年 ドラフト外 読売ジャイアンツ
- 所属球団( )内は背番号
- 1989年~1996年 読売ジャイアンツ (93→59→24)
1997年~2002年 近鉄バファローズ (17)
2003年~2005年 阪神タイガース (48) - 引退
- 2005年
【プロ野球(NBA)通算成績】
- 通算:17年
-
登板 先発 勝利 敗戦 セーブ ホールド 投球回数 被安打 被本塁打 与四球 与死球 奪三振 失点 自責点 防御率 375 18 34 29 83 - 580.1 458 56 352 11 594 246 222 3.44
- 2009年~2010年 独立リーグ「大阪ゴールドビリケーンズ」投手コーチ
2012年~現在 関西独立リーグ「06BULLS」投手コーチ
- 【 チーム名 】
- 06BULLS (ゼロロクブルズ)
- 【 運営団体 】
- NPO法人 スポーツクリエイション
- 【 運営本部 】
- 大阪府東大阪市吉田6丁目6番33号
- 【 電話番号 】
- 072-915-7054
- 【 主なホーム球場 】
- 花園セントラルスタジアム
- 【 地 図 】
- 場所はコチラ
- 【 WEBサイト 】
- http://www.06bulls.com/
「プロのスカウトって野球の技術だけを見てる訳じゃないんだよな。人としてあいさつの仕方や会話の受け応え、それ以外にも野球道具の扱い方とか練習態度とか・・・。人間力も備わってないと評価されないって事を知らない人が多いんだよね」
-
- 真木
- 「お久し振りです。石毛さんが06ブルズでピッチングコーチをしている事は監督の村上さんから聞いてたんですけど、なかなか会いに来れなくて・・・。やっと挨拶に来れました。今日は練習もあってお忙しいところ申し訳ありませんがよろしくお願いします」
-
- 石毛
- 「うん、オッケー」
-
- 真木
- 「早速ですが石毛さんが野球を始めたキッカケって何だったんですか?」
-
- 石毛
- 「小学校4年生の時だったと思うけど、それまですごく引っ込み思案なタイプで知り合いが来ても親の足元に隠れて挨拶も出来ないような子供だったんだよ。それで両親がそれを嫌がって無理矢理野球チームに入れられたんだ」
-
- 真木
- 「じゃあ最初は野球が好きで始めた訳じゃなかったんですか? 子供の頃だから友達同士で野球をして遊んでたから・・・とかもなくてですか?」
-
- 石毛
- 「うん、チームに入るまで全く野球はしてなかったね。だからほぼ強制的にやらされた感じだったかな。でも、いざチームに入って始めたら、少しずつ体も強くなったり野球でも活躍できるようになってすぐに楽しくなったのは覚えてるな。小学校の頃の作文で、将来はプロ野球選手になりたいって書いてた事もあったもんね」
-
- 真木
- 「そうなんですか?4年生までまったく遊びでも野球をやってなかったのにチームに入ったらすぐに活躍するようになるなんて、才能はあったんでしょうね~」
-
- 石毛
- 「野球をやっててもバスケのチームから助っ人を頼まれたり陸上でも誘われたりしてたから運動神経は良かったのかもな」
-
- 真木
- 「中学生になったらどんな野球少年だったんですか?」
-
- 石毛
- 「ピッチャーをやってたから中学に入学したらすぐに毎日バッティングピッチャーをさせられて、一日500球以上投げさせられてたんだ。それですぐに肘を痛めてしまって病院に行ったら手術をしないと投げられないって言われたんだけど、まだ当時は手術をして復帰できるなんて思えなかったから手術はしなかったんだ。それから1年間くらいは投げられなくて・・・。それから今になっても肘を伸ばそうとしても完全に伸びないで曲がってしまってるんだよ」
-
- 真木
- 「1日500球以上毎日投げるなんてさすがにムチャですね~。それでピッチャーにはいつくらい復帰したんですか?」
-
- 石毛
- 「中学2年生の時には投げられるようになってたよ。3年生の時には身長もすでに180cm以上あって軟式で130km/h以上のボールは投げてたもんね。硬式だったらもっとスピードが出てるって言われてて、千葉県のいくつもの強豪高校からお誘いはもらってたんだけどね、結局は受験で地元の高校に行く事にしたんだ」
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- 真木
- 「そうなんですか?プロ野球選手になる事を目標にしてるのに公立高校を選択したんですか?ちょっと珍しいですね~。そこで子供の頃の引っ込み思案が再発してたんですね?
高校野球はどうでした?」
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- 石毛
- 「銚子高校って結構プロ野球選手も出てるし伝統のある学校なんだけど、昔ながらの伝統でエースナンバーの背番号1は毎年3年生が付けるって暗黙の伝統があったんだ。でもそんな中、入学してすぐの1年生の夏の大会で1番の背番号を付けさせてもらって高校野球にデビューしたんだ。結果は1回戦負けだったけどね。でもその大会以降、銚子高校の石毛って地元ではちょっと有名な存在になったんだよ」
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- 真木
- 「高校野球の戦績はどうでしたか?」
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- 石毛
- 「一番良かったのは2年生の夏に千葉県でベスト4に入った事かな。中学でも高校でも県内ではそこそこ勝つんだけど全国大会には一度も出場した事ないんだよね」
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- 真木
- 「そうなんですね。それで3年生の時にはドラフト指名されるんですよね?僕達の頃にはドラフト外って制度がなくなってたからあまりピンと来ないんですけど、石毛さんはドラフト外って事なんですよね?どういう事なんですか?」
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- 石毛
- 「ドラフト外って制度はちょうど俺の年で最後だったからね。それまでは各球団ドラフトでは6位までしか指名が出来ないってルールがあったんだよ。だから7人目以降はドラフト外って事で入団してたんだ。次の年からはドラフト7位とか8位とかでも指名できてたからドラフト外って言うのはなくなったんだ。それ以外の部分では6位以内の選手とドラフト外の選手ではそんなに大差はなかったと思うけどな」
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- 真木
- 「そうだったんですね~。それで昔の選手はドラフト外って選手が多かったんですね。それで実際プロ入り後はどうでしたか?」
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- 石毛
- 「1年目は登録選手数がオーバーしてたから選手登録されずに練習生扱いだったんだ。その1年間でじっくりと体力作りも出来たし良い練習をさせてもらったよ。ちょうど吉村さんがケガをされて復帰される直前だったから、いつも吉村さんのバッティングに投げさせてもらって、プロの一流打者相手に投げながらいろいろと勉強さえてもらったね。あの1年間は俺にとってはほんと貴重な1年だったと思うな」
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- 真木
- 「たしかに、その翌年の2年目には二軍でセーブのタイトルを獲るんですもんね」
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- 石毛
- 「そうそう、1年目は選手登録をされてないから試合には出れなくて、その間、主に当時の宮田ピッチングコーチから抑え投手とはどういう事か、を徹底的に叩き込まれたんだ。練習メニューにしても抑え投手として長いイニングを投げるスタミナよりも短いイニングを確実に抑える為の練習が多かったよ」
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- 真木
- 「例えばどういう練習方法だったりどういう考え方なんですか?」
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- 石毛
- 「体のキレ、投球のキレを意識して瞬発系の練習ばっかりだったね。ショートダッシュはもちろん、内野でのゴロ捕とかペッパーとかね。引退するまでの間、そういう練習が俺の基礎となっていったんだ。そのお陰で引退した今でもケツや足が太いままなんだけどね。あとは、常に相手の心理を意識して行動するように言われてたかな。もちろんピッチング練習でも、バッターがいなくても常にバッターを具体的にイメージをしたりとかね。教えられる部分ってメンタルの要素も強くて、メンタルの弱かった俺が人並みには克服できたと思うな」
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- 真木
- 「へ~、プロに入ってじっくりとそういう期間があったってすごく貴重ですね。プロのコーチに教えられる訳ですから、もちろんコーチングもプロな訳ですもんね。アマチュアで教えられるよりもレベルが高い事だと思いますし、それが毎日みっちりと出来たなんてある意味羨ましいですね。
石毛さんはプロ現役生活が17年でいろんな経験をされてるでしょうけど、良い思い出ってどんな事ですか?」
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- 石毛
- 「う~ん、何だろうな。いろんな経験させてもらったけど、やっぱりプロでの優勝かな~。ジャイアンツでは自分も活躍できて日本一にもなって、あの銀座を規制しての優勝パレードは最高だったね。その後移籍した近鉄でもリーグ優勝できたし、その後のタイガースでも星野監督の下で18年ぶりのリーグ優勝も経験できたしね。その時はその時で、銀座とは違って大阪の御堂筋での優勝パレードだったんだけど、雨がどしゃぶりにも関わらず沿道にはタイガースファンがたくさん集まってくれて、一番印象的だったのが、沿道からのファンの言葉でジャイアンツの時は『優勝おめでとう!』って言われてたのが、タイガースの時は『優勝ありがとう!』って言われてたんだよ。似たような言葉なんだけど、その意味はすごく違いを感じて、やっぱりタイガースファンってすごいんだなって実感したね」
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- 真木
- 「そうなんですね~、そんな話を聞いただけでも感動しちゃいますね~。「おめでとう」は他人事みたいですけど、「ありがとう」は自分の事って感じですもんね。現役生活17年のうち、リーグ優勝をしたのが7回もあるんですよね。素晴らしいプロ野球選手生活でしたね~。
じゃあ今度は反対に悪い思い出って何かありますか?」
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- 石毛
- 「悪い思い出もたくさんあるよ。ジャイアンツの時、原さんが引退するってシーズンで、選手同士の中でも原さんに花道を飾らせようって話で盛り上がってた時に、ある試合で原さんが逆転ホームランを打ったんだけど、その後俺が登板をして逆転されて負けてしまったんだ。そしたらその試合後に東京ドームの選手の出口で車に乗って出ようとしたらジャイアンツファンに囲まれてしまって・・・。すぐに警備員が来て対処してくれたから何事もなく済んだんだけどね」
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- 真木
- 「良い面でも悪い面でもファンの存在って大きいですよね。応援してもらってる時はすごく心強く感じるけど、反対にヤジられたり批判されたりするとすごく冷たく感じますよね。
そんないろんな経験をしながら、最後17年目のシーズンで引退する事になるんですが、引退を決意させた理由って何かあったんですか?」
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- 石毛
- 「17年目のシーズンが始まってすぐのある試合で登板中、その日は調子も良くてよく腕も振れてたんだけど、ある一球を投げた瞬間、自分の体の中で『ブチッ』って音が聞こえて明らかにおかしかったんだよ。それから何球かは投げ続けたんだけど、全く力は入らないし、右肘のあたりがどんどん内出血して赤くなっていくしで、自分からベンチに向かってもう投げれないって言って降板したんだ。そしたら右肘の靭帯が切れてしまってて・・・。シーズン終盤で復帰する事は出来たんだけど、もう腕を振るのも怖くて振れなくて、それで引退をする覚悟が出来たね」
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- 真木
- 「じゃあ最後はケガが原因でユニフォームを脱ぐ事になったんですね?でももうその時点で17年もユニフォームを着てた訳ですからやり切った感の方が強かったでしょうね。引退直後や何年か経ってからでも、現役に対しての未練って言うのはなかったですか?」
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- 石毛
- 「うん、引退してから何をしようって言うのがあった訳でもないんだけど、現役に対する未練は全くなかったね。とにかく野球にはどういう形でも携わり続けたいとは思ってて、野球の解説だったり、指導者や、プロでのコーチって言うのもやってみたいって思う気持ちは当時から今もまだ思い続けてるね」
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- 真木
- 「そうなんですね~。石毛さんはセーブ王のタイトルも獲ってますしいろんな経験もされてるので、これからの選手に伝えられる事とか教えられる事はたくさんあるでしょうね~」
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- 石毛
- 「う~ん、格好良く言ってみると、野球に対して恩返しをしたいと思ってるんだ。今までは本当に野球で生きさせてもらった訳だから、今度はそれをどう伝えていけるのかって言う事がテーマだと思ってるんだ。でもこれが、自分がマウンドに上がるよりも何倍も難しくてな・・・。同じような事を伝えたいとしても、ある選手にはこういう伝え方で伝わったとしても、別の選手に同じ伝え方をしたからと言って全然伝わらない事がたくさんあるんだよ。これは村上監督も同じだと思うけど、ホントもどかしくて自分がマウンドに上がってやる!って思わされる事ばっかりなんだ」
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- 真木
- 「実際それでまだまだ投げれちゃう石毛さんが化け物ですよね」
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- 石毛
- 「独立リーグである事情があって選手が足りなくなった時に選手登録をして何試合かは投げた事もあるからね。最初はさすがに何年も練習してなかったから打たれたりもしたけど、それがまた悔しくてちょっとムキになって練習したりしてね。そしたらまだまだ140km/h以上のボールは投げれたし打たれなかったもんね」
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- 真木
- 「それが化け物なんですよ!じゃあ最後に、石毛さんだからこそ言える何かアドバイスをお願いします」
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- 石毛
- 「今はここの独立リーグの選手にも日頃から言ってるし、月に何回か富山県の方で野球教室をやっててそこの子供達にも言い続けてる事なんだけど、プロ野球選手になる為には何が必要か?プロのスカウトの人達はどういう部分を見ているのか?それは技術や素質って言うのもあるけど、それだけではなくて、人間力って言う部分も重要視してるんだって事。いくら技術があっても、挨拶が出来ない、道具を大切にしない、練習に対する取り組む姿勢が悪い、そういう選手は技術も伸びないだろうって判断されてしまうんだって。だから、野球の技術を磨く事はもちろんなんだけど、それと同時に人間力も磨きなさいって事を伝えていきたいと思うな」
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- 真木
- 「たしかにそうですよね。プロに入団してくる選手の中でも、やっぱり挨拶が出来ないとか態度が悪い選手って長くは続かないですもんね。もっとストレートに言ったら、やっぱりそういう選手って、他の選手と比べるとチャンスをもらう機会が少ないと思いますね。たとえプロだろと、やっぱりチームの監督やコーチって言うのはそういう部分で選手の起用を考える部分も少なからずあるんでしょうね~。
ありがとうございました。現役の時には聞いた事もないような話をたくさん聞かせてもらえて良かったです」
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- 石毛
- 「そうだな~。同じ選手同士だったら現役の時にこんな話なんてあまりしないもんな。こちらこそありがとう」
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- 真木
- 「じゃあ、まずはここの06BULLSで常勝チームを作り上げて、いずれは村上さんと石毛さんがプロ野球のどこかのチームで監督やコーチをやっている姿を楽しみに待ってますね」
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- 石毛
- 「そうなれるといいな」
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- 真木
- 「是非、実現しちゃってください。どこに行っても自分は応援し続けますから。今日はホントにありがとうございました」
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- 石毛
- 「うん、ありがとう」